一言で「デッキの作り方」と言っても、『MTG』のカードは枚数も多く、デッキは多種多様になる。
作るデッキをイメージしていくことが肝心である。

<デッキの種類とは?・大雑把に>
「ビートダウン」「コントロール」「コンボ」と大別される。

ビートダウン:クリーチャーを脅威として展開、ライフを削りきることを主眼とする。もっとも王道の戦略。
コントロール:打消しや除去などを多用し、相手の脅威を捌ききって勝つことを主眼とする。たいていは白青や青黒。「除去コントロール」として黒赤緑などが環境にいることもある
コンボ:特定のキーカードを駆使して勝ちに行くデッキ。特定の1枚を探しに行くタイプだったり、特定のパーツ(2種、あるいは3種以上)を揃えに行くデッキだったり、デッキ全体が特定の動きに特化しているなど、内訳としては様々。


<デッキの種類とは?・R&Dによる分類>
「公式の『MTG』の記事では、こんな感じでデッキ分類するよ」と(5年以上前だけど)記事に載ったことがある。
6つに分類され、実際に公式記事だと以下のように分けられていることが多い。

アグロ:最序盤から軽いクリーチャーを展開し、速やかに対戦相手のライフを削りきって勝利を狙う
中速:1ターン目~2ターン目はマナ・クリーチャーなどから展開したりハンデスや除去を撃ちつつ、3~6マナ域の「単純に強いカード」の順次展開を狙う
ランプ:序盤はマナ加速を連打し、そこから(マナコストが高い)少数の脅威での勝利を目指す
コンボ:特定のカードの組み合わせなど、変わった戦略で勝利を目指す。他のデッキではまず見ないカードが入っていたりする
コントロール:対戦相手の脅威を妨害し続け、最後には少数の脅威でゲームを終わらせる
撹乱的アグロ:軽い脅威を展開し、それに対する除去と対戦相手の脅威を、カウンターなどで妨害しながら戦う。

<主な相性>
・アグロは、遅いコントロールに強く、またクリーチャーの量と質で勝るため撹乱的アグロに強い。
・コントロールと撹乱的アグロは、少数の遅い脅威を妨害できることからコンボとランプに強い。
・コンボとランプは、速度も妨害手段も不足している中速に強い。
・中速は、クリーチャー戦において1体1体の性能差で分があるためアグロに強い。

ただし、「コントロールに強いコンボ」や「高速アグロを食い止めることに主眼をおいたコントロール」、「中速では追い付かないアグロ」などもある(作れる)ため、あくまで一般論として。

だいたい最初はお試しで作られたアグロが流行る→アグロを抑え込むミッドレンジが流行る→ミッドレンジを狩るコントロールが流行る→環境が遅くなったので高速アグロが再び隆盛する→(エンドレス)

と流行りのデッキや使われるカードが変化し続けることとなる。
今週最強のデッキは、来週最強のデッキとは限らないのである。


<デッキの話に出てくる用語>
・メタ
メタゲーム(Meta-game)の略、ゲームのプレイングといった戦術とは別の、ゲーム外の戦略要素。
おおよそ、デッキの流行り廃りを予想して自分のデッキを選択したり、デッキに採用するカードを入れ替えたりすること。

省略してふんわりとした雰囲気で使っている人が多いので、初めて聞くと何のことか分かりにくいかもしれない。
『MTG』というゲームは、色対策カードや、アーティファクト/エンチャント破壊のカードなどはサイドボードに採用することが多いが、
「環境のほとんどのデッキに装備品が入っているから、メインからアーティファクト破壊のカードを採用しよう」
「次の大会はランプデッキが多いだろうから、土地を破壊するカードをたくさん採用しておこう」
というのを考えて実行するのがメタ読み、メタ戦略である。

「今のメタなら、ファクト破壊はメインで良い」
「今日はランプデッキをメタったデッキ持ってきた」
みたいは言い回しで使う人が多い。

・Tier
流行りの意味。通常、その時勝率が良いデッキの使用率が増えるので、「その時、対策が必要なデッキ群」ともいえる。
先に挙げた言葉を使うなら「メタる」べき相手。
人によって評価がまったく違うことがあるので、いろいろな人(ショップのウェブサイトや個人Blogで情報発信しているプロ)の記事や公式記事などを読んだうえで、友人なんかと話してみると良いかと思われる。


「Tier1」のように後に数字が付き、数字が小さい程上位グループになる(Tier1=第一グループ)
Tier1=環境を定義づけている流行りのデッキ、そのデッキを使うかそのデッキに勝てるデッキを使うかの選択。
   一強のこともあるし、4つくらい名前が挙がる時期もある。後者の場合「環境が読めない」「メタが混沌としている」などと言われる。
Tier2=一定数以上の参加者がいる大会に出れば誰かは使っている、能力は高いデッキ。環境の変化で上下に移動する。
Tier3=存在は認識されているが、流行りのデッキとの相性のせいだったり安定性だったり、サイドカード1枚で負けが決まったり(対策が容易だったり)で、最強のデッキ談義には名前が挙がらないデッキ。愛好家が使い続けていたりして、上位メタが変動するタイミングで微調整の末に結果を出したりするとTier上位に加わったりする。そうでなくとも、不安定さを乗り越えたり、「対策されなければ強い」というようなタイプのデッキがTier1、Tier2デッキへの対策カードをすり抜けられるタイミング時々結果を出したりもする
その他=だいたいローグデッキと呼ばれてひとくくり

・ローグデッキ
Rogue。『MTG』では「ならず者」と訳されているが、この場合は「はぐれ者」「一匹狼」という意味になろうか。流行りを無視したデッキ。あるいはデッキリストが普及していない自作デッキ。
・地雷デッキ
「対策されなければ強い」デッキ。誰も実用化しようとしなかったコンボ搭載デッキ。大きな大会に出るとなると、プレイヤーは流行りを考えて念入りにデッキを調整するものだが、「想定していなかった」ゆえにTier上位以外のデッキにあっさり負けたりするものである。主に負けた側が「地雷踏んだわー」(分からん殺しされたわー、●●の対策カード取ってなかったわー)と自虐して言うものだが、持ち込む側が「今日は地雷デッキ持ってきた」などと言う場合もある。

<昔使われていた分類や、同義語などのまとめ>

昔の記事だったり個人の記事だったりで使われていそうな単語をいろいろ

■ ビートダウン
・アグロ:ビートダウンの一種。アグレッシブの略。ほぼ同義で使われる。例)「今日の大会は、黒赤アグロデッキで出るわ」
・ウィニー:白ウィニー、黒ウィニーと呼ばれるデッキが過去に活躍。良質な軽量クリーチャーを並べて全体強化スペルで後押しするのが一般的。1-2マナのクリーチャーが重要視され、1ターン目にクリーチャーを出して、2ターン目に2体追加という動きもざら。今も割と使われている。
・ステロイド:赤緑ビートダウンの総称として使われる(使われていた)。マナ・クリーチャーが採用されていて4マナ5マナの脅威が多いデッキの場合、現在ではビートダウンではなく中速と見なされることが多そう。
・スライ:赤の軽量クリーチャーと火力で、毎ターンマナを使い切る動きを重視。20年前に定着した単語ではあるが、現在はあんまり使われない
■ 中速
・日本語公式記事で昔「中速」と訳されていたのでこう書いたが、実際のところ今はミッドレンジと呼ばれることの方が多い
・1-2ターン目の動きとしてはマナ加速パーツが採用されることが多いが、良質なマナ加速パーツがない場合、ハンデスやシステムクリーチャーから展開することも。4-5マナ域の良質クリーチャーが多種使えるのが魅力
・分類としては、マナ域がちょっと上に寄ったビートダウン
・ジャンク:カード同士の相性よりも、個で強いカードを詰め込んだデッキのこと。として使われている? 1体で強いクリーチャーと優秀な除去と手札破壊カードを詰め込むと、だいたいこう呼ばれる。そんな習慣がある。
・グッドスタッフ:別に中速とは限らないけれど、「単純に強いカードぶち込んだら強いデッキになるだろ」理論で組まれたデッキ。たいていは中速になる。ジャンクとほぼ同義(もしかしたら明確な差があるのかもしれないけれど、私は知らない)。シナジー無視、場合によってはディスシナジー上等でカードが選定される
■ ランプ
・マナ・ランプとも呼ばれる。他には、ビッグマナ(大量のマナ)、ターボランド(土地加速)なども同義
・「土地を戦場に出す呪文」を唱えたり、「マナを生むことができるクリーチャーやアーティファクト」を並べて、大量のマナを必要とする呪文で勝負をかけるデッキ
・三大分類で分けるなら、コンボになる
■ コンボ
・特定の、相性の良いカードを集めたデッキ
・ある特定のカードが揃うと介入がない限りゲームが終わる無限ループに突入したりする
・(ほぼ)即死コンボとして、「20点のライフを一瞬で削りきる」「無限パワー」「無限マナ」「無限体のトークン生成」などを発生させたりもする
・「即死コンボ」や「無限ループ」が無いと、「コンボデッキ」と呼ばない人もいるが、特定のカードを使うためにデッキ全体がデザインされているデッキ(墓地に落としたクリーチャーを戦場に戻すことだけを考えた《王神の贈り物》デッキ)、デッキ全体がある種の勝ち方に貢献するようなもので出来上がっている(ライフを無視する「ライブラリーアウト」デッキ、手札から唱えることより墓地にあって意味があるカードでデッキ全体が作られている「ドレッジ」)、シナジーが強いカードを揃えることで勝利を目指すデッキ(2種揃えばいつでも「1マナ払えば1/1の飛行トークン生成と1点ゲイン」が発生するソプターコンボなど)は一般にコンボデッキと呼ばれている
■ コントロール
・打ち消し呪文や全体除去を駆使して序盤の脅威を払い、フィニッシャーを守って勝つ「白青コントロール」がいつの時代にも存在する。白の全体除去が弱い時期は、「青黒」の方が流行っていることも。
・パーミッション:打ち消し呪文に特化させたデッキ。当然青い。(より極端になると「フルパーミッション」と呼ばれる)
・除去コントロール:打消しに頼らず、出てきた脅威を順次破壊してフィニッシャーにつなげるデッキ。特定色に限らないが「黒赤緑」などが多い。戦場に出た脅威の対処手段に優れる為、ビートダウンや中速に強いことが多いが、ランプやコンボに弱いことが多い。
■ 撹乱的アグロ
・日本でこう呼ばれることはまずない。ほとんどの場合「クロックパーミッション」と呼ばれる。略されると「クロパ」
・序盤に高打点のクリーチャー、あるいは回避能力があるクリーチャーを展開し、それを妨害カードで守りながら勝つ動きをする
・ビートダウンとコントロールの中間のデッキ
・おそらく、バウンス呪文をもっとも有効活用できるデッキ

■ その他の特徴的なデッキ
・バーン:プレイヤーにダメージを与えるカードを詰め込んだデッキ。ダメージを与えるカードを使うので、基本的には赤(か、赤を含んだ多色)。生物が少ないアグロデッキ、くらいのイメージ。クリーチャー数はフォーマットや時期によってばらつきが大きいが、良質な速攻持ち、打点が高く回避能力がある、継続的にプレイヤーにダメージを与える手段がある、などは採用される。全体除去でクリーチャーが全滅したり巨大クリーチャーを並べられてクリーチャーでの突破が難しくなったりしても、そこから粘って本体火力だけでライフを攻められるのが利点であり、使い捨てのダメージカードが多いため、何らかの手段で継続的にライフを得られるとそこから逆転するのがほぼ不可能なのが欠点。
・ライブラリーアウト:ライフを攻めるのではなく、切削などで相手のライブラリーを削りきることを目的としたデッキ。
・ハンデス:「ハンド・デストラクション」の略。手札破壊。手札を捨てさせるカードを大量投入し、相手に何もさせずに勝つデッキ。通常、手札が少ないことや手札を捨てることにペナルティを与えるカードが併用されるため、基本的にはコンボデッキに分類されるが、相手の動きを大幅に阻害するためパーツ次第ではコントロール寄りとも言える
・ランデス:「ランド・デストラクション」の略。土地破壊。土地を破壊するだけでなく、土地を手札(やライブラリ)に戻すカードでも成立する。上と同様にコンボデッキであるが、コントロールデッキと見なされることも。
対戦相手が何も行えないようにして勝つデッキのため、昔々には「ランデスデッキは友達を無くす」と言われたほど。
最近のカードは、土地破壊カードは大幅に弱体化している(仕掛ける側の必要なマナが増えている)ため、今はそんなことは言われないので、現実に特殊土地対策が必要となる場面も多く、土地を対象とできるカードの投入を恐れる必要は無い。
・ロック:これもコントロール=コンボ。その中でも、対戦相手が完全に手詰まりになる状況を作り出すデッキ。最近のカードで行うのは難しいためこちらに分類したが、不可能なわけではない。おおよそ、自分自身も減速させることが多く、勝ちが確定するまでに時間がかかる傾向がある。

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「コンボを内蔵したコントロール」や、「コントロール寄りのミッドレンジ」みたいな言い回しもしたりもして、それぞれの境界線は意外とあやふやなので、あんまりこだわって使わない方が良いとは思う。


<何を使えば良いの?>

最初は、自分の好きなデッキを使おう!



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